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内視鏡

当院では動物用内視鏡システムを導入し、消化器疾患の診断および治療を積極的に行っています。大小2つのビデオスコープを備えていますので、猫や小型犬から大型犬まで対応可能です。症状を言葉で伝えられない動物の診療に、高画質な画像が威力を発揮し、日常診療の頼れる”目”として観察・診断に役立ちます。また、オーナー様の不安に対して、動画による明確な説明が可能になります。

慢性あるいは急性の吐き気(嘔吐)、下痢はありませんか?

こんな症状が現れたらご相談ください。

  • 時々嘔吐する
  • 体重が減少してきた
  • 血液検査でタンパクやアルブミンが低いと言われた
  • 時々下痢をする、血便がでる など

おおまかな診断までの流れは…

①しっかりとした問診、身体検査や検便、検尿、血液検査など基本的内容を必ず確認し、鑑別診断を立てます。
②レントゲン検査、超音波検査などの動物にストレスが少ない画像検査で異常がないか確認します。
③この時点で診断ができれば、治療開始。あるいは治療による経過観察をします。
④上記の検査で原因がはっきりせず、治療により改善も認められなければ、全身麻酔下での内視鏡を検討します。
⑤症状に応じて 1) 口から 2)お尻から 3) 両方 の内視鏡を実施します。
⑥消化管粘膜の観察、組織生検を実施し、病理組織検査や遺伝子検査にて確定診断をします。
⑦フード変更、内服薬、抗がん剤、外科、再生医療などによる治療を実施します。

正しい診断をしないと、適切な治療方針は決定できません。オーナー様と相談の上、決定していきますので、ちょっとした不安がある方はお気軽にご相談ください。

 

症例1:靴下の誤食

X線(横画像)
レントゲンにて胃内に何かありそうですが、なにかは分かりません…

 

内視鏡(胃内)
内視鏡にて初めて異物と確認できます。
それでも何かは不明です。

 

摘出物
開腹手術をすることなく、内視鏡にて摘出できました。内容物は靴下です。
内視鏡による摘出であれば、日帰りでの帰宅も可能です。

 

症例2:ボールとその他もろもろの誤食

バリウム造影(横画像)
この写真では異物はなさそうですね。

 

バリウム造影(縦画像)
人工物様の丸いものがありそうです。ボールかな…

 

内視鏡(胃内)
つかみにくい異物はバスケット鉗子にて摘出できます。

 

摘出したボール
直径2cmほどのゴム製のボールでした。

 

その他の異物
ボール以外にも様々な異物を認めたので、可能な限り摘出しました。

 

症例3:若齢犬、食欲旺盛、数か月に1回ほどの嘔吐、最近の吐血、誤食疑いないとの主訴

バリウム造影(横画像)
空腹のはずなのに、胃が膨らんでいます。
まさか腫瘍…?

 

バリウム造影(縦画像)
胃の形がくっきりしています。異物ではないと言うけれど…試験開腹かな?

 

内視鏡(胃内)
いきなりの開腹は動物に負担があり、手術計画も立てづらくなります。まずは内視鏡で確認。
異物と分かります。吐血の原因は異物による胃粘膜からの出血でした。
巨大すぎて内視鏡での摘出は困難ですので、開腹手術となります。

 

摘出した異物
胃内をすべて占拠するほどの巨大な異物。
これでも前日までは食欲旺盛です。

 

切断した異物
かなり固く普通のハサミでは切れません

 

切断した異物
じゅうたんなどの切れ端を核に人間の毛髪が幾重にも重なって…塵も積もればとはまさにこのことですね。

 

症例4:高齢猫、時々の嘔吐、元気食欲あり、急性のショック

X線(横画像)
胃内にガスが充満しています。異物ははっきりしません。

 

X線(縦画像)
これでも何の異常かはわかりません。

 

内視鏡(十二指腸内)
胃を出てすぐの腸内に異物が詰まっています。粘膜の色も悪く、内視鏡での摘出は困難です。

 

十二指腸
内視鏡で確認済みなので、手術がスムーズです。

 

摘出した異物
とても硬く、はさみでもなかなか切れません。
こんな物は家にないそうです。

 

切断した異物
リビングなどの絨毯を少しずつ食べて、時間をかけて胃内で団子を作製したのですね。

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